「メイン銀行」と良好な関係を築く必要性

貴方の会社には、「メイン銀行」と位置づける金融機関はありますか。

金融円滑化法が終了してから3年目を迎えました。金融庁は、いよいよ金融機関に対し、融資の元本返済猶予(リスケ)をしていた債務者企業に対し、経過処置を終わらせ、メリハリの効いた対応をする指導方針が出されました。
今後、自社の経営内容を理解し支援が受けられる「メイン銀行」と良好な関係を築く必要があります。

金融機関と円滑な取引関係ができている会社とは

「おたくのメイン銀行はどこですか」と聞かれて即答できる会社は、金融機関と円滑な取引関係ができている会社と言えます。大企業では明確にしている会社がほとんどですが、中小企業では特に意識している経営者は多くないのではと思います。このメイン銀行とは、用語に特別な定義や決まりがあるわけではありませんが、取引金額が多く、自社の経営に理解をいただいており、困ったことがあると特段の配慮や対応をいただける金融機関と言って良いでしょう。

なぜ「メイン銀行(金融機関)」が必要?

そこで今回のテーマで、なぜ「メイン銀行(金融機関)」を取り上げるかと言う理由です。
会社が資金繰りに困り、金融機関に融資の元本返済猶予などの約定変更を要請すると、通常、詳細な経営資料の提出を求められ、営業の窓口から本店等の審査部に回されます。条件変更は、当然に融資企業を評価する「債務者区分」が下り、不良債権の仲間入りになります。了解が得られなければ資金繰りが悪化し、倒産や会社整理の事態になります。

金融円滑化法により起こったこと

しかし、平成18年に施行された「金融円滑化法」は、申請すれば無条件に元本返済に応じてくれる法律でした。このため、金融機関との緊張関係が薄れ、経営者の資金繰りの感覚が安易になった。金融機関も審査業務が省略化され、不良債権の対応感覚が薄れたなどと言われました。この結果、この法律により、廃業すべき会社も、延命しただけとの指摘がでるなど、日本経済の再生がスムーズに進まない原因と指摘されるようになりました。

経営改善計画策定支援事業とメイン銀行

国は、リスケの適用を受けた中小企業の経営改善を支援するため、約400億円の補助金を用意して「経営改善計画策定支援事業」を実施しています。「経営改善計画書」を策定し、金融機関から同意がえられた企業には、リスケ等の再延長等ができるものです。
そこで、この制度の運用で重要性が増したのは、「メイン金融機関」の位置づけです。まずこの制度の利用申請は、メイン金融機関の了解が必要です。そして策定した「経営改善計画書」は、メイン金融機関が中心となり、融資をしている全ての金融機関の「同意」が必要です。この同意がなければ、国の補助金の支援も再リスケもできません。

今後の金融機関の動き

平成27年度後半から、金融機関は、リスケを行っている企業に、元本返済を強く求めてくることが予想されます。3年間も猶予があったのですから、経営者に会社存続か廃業かの選択が求められるでしょう。そこで今後は、メイン銀行という位置づけが重要性が増してきます。いざ鎌倉という時に親身に対応してくれるか、このために普段から、経営者は、どの金融機関をメイン銀行として深い付合いをしていくか、経営判断の一つになります。

ただし金融機関も大きな経営環境の変化を迎えています。金融庁は、金融機関の経営体質の強化のため、地方銀行、信用金庫の合併を進めています。都市銀行が3行に集約したように、地方銀行や信用金庫も集約されていくものと思います。
そこで取引銀行が合併になると、ここでも問題が生じます。取引銀行の2行が合併して1行になれば、仮に1行の融資限度額が1,000万円の場合、合併後2,000万円に維持されるのではなく、1行の1,000万円に減ることになります。また、新銀行の債務者区分も変更になると、その後の融資や取引関係も変化する可能性があります。平成27年度後半からは、金融機関の融資企業への対応は変化していくものと思われます。経営者の皆様は、この変化にも注目が必要と言えます。

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